山スキーレポート

2613畠山 Sun, 9 Jun 2019

26期の畠山です。
 今年の半年間の山スキーレポートです。長文ご容赦。写真は2回に分けて送ります。

毎度の如く12月上旬、オープン前の池の平スキーからの赤倉山へ。無雪期は、年に
数度ここから走って妙高山を往復する勝手知ったコース。登り口のスキー場の駐車場
で20cmの積雪で、上に行けばもっと増えるだろうと思っていたが、スキー場トッ
プまで行っても積雪量は大して変わらず。スキー場上の藪に突っ込む気にもなれず、
ここまでとした。数週間後にはカラフルなウエアを纏った人たちで賑やかなゲレンデ
だが、今は静か。

 12月中旬、下旬、1月上旬の3回、噴火レベルが下がり登山が解禁になったので
2年ぶりに焼山に登る。12月は積雪量が少なく、林道終点の溶岩台地の入り口ま
で。ここから上は藪多し。1月上旬は溶岩台地の藪が埋もれてスキーアイゼン登高可
能な2000mまで。かつて岳人にも紹介され、3、4月には人気のコースだが、こ
の時期は誰もいない。焼山溶岩台地はいつ来ても素晴らしく、大回りのパウダー滑降
を楽しむ。延々と林道をラッセルハイクしたご褒美。雪の日だったが滑っている時だ
け視界があった。

 12月下旬と1月上旬は黒姫山へ。最初は鳥居川第二発電所近くから南東尾根。久し
ぶりの腿ラッセルで疲れてしまい1700mまで。 次は長水の別荘地から東南東尾
根へ。このルートは頂上に本当にダイレクトに登れる。 尾根が小ぶりでやや急で登
りにくい。この日も急なところは腿ラッセルで、上部は雪崩そうだったので1850
mまで。

 1月中旬は昼闇山へ。ここも春には登る人がいるが、厳冬期は誰もいないので延々
とラッセルが続く。昼闇谷カール西側の急な尾根を登り、昼闇山肩の1600mま
で。2年前と同じ。ヒマラヤ襞風の阿弥陀山が美しい。比較的安定した雪だったの
で、頂上まで行ってここから昼闇谷カールに飛び込むこともできたかもしれないが、
無理せず1600m台地からパウダー蹴散らしてカール目指して飛ばしていく。下山
地の焼山温泉の営業が今月で終了するとのことで、最後の露天風呂につかる。
1月下旬は明星山へ。岡部落から東側斜面を登る。雪あられの弱層の上に雪が積もっ
ている典型的な雪崩が起こる雪で、無理をせず、900mまで登って東斜面を滑降。
ズーット雪で視界があまりなく、明星山東壁を見ることが出来なかったが、帰りの車
窓からようやく拝むことが出来た。頂上から真っ白な東側斜面を滑ることが出来れば
最高だが、厳冬期この斜面の上部は常に雪崩の危険がある。

 2月上旬、烏帽子岳へ。寒の時期、節分だというのに平地は3月下旬のように暖か
い。北烏帽子まで登り一度下がって烏帽子の急登は所々アイスバーン。モナカと新雪
とアイスバーンが混ざった複雑な雪で滑降の自信が無かったので、途中にスキーをデ
ポしてピッケルとアイゼンで登っていく。現役時から今も時々使っている38年来の
立山かんじきも持ってきたが今回は出番なし。頂上稜線は東側に大きく雪庇が張り出
していて、雪庇の根元がヒドンクレパスになっていてこれに落ちそうになる。頂上付
近の雪庇の根元が割れていて、崩壊の危険性も感じたので、少し手前まで。
2月中旬は八ヶ岳音楽堂でカミさんと東儀秀樹のコンサート。野沢温泉のスキーは、
今年は行けなかった。来年は是非。

 2月下旬と3月上旬は鉾が岳。鉾ヶ岳は9年振り。10年ぐらい前は毎年のように3
月、4月に滑降していた。頂上付近だけはなだらかだが、これに至る尾根と谷は全て
が険悪で、今回登ろうとしたルートが唯一、1月2月のパウダー時期に登れるルート
と思う。ただ、金冠山を巻きながら登るところのブロック雪崩は気を付けなければな
らない。
1回目は山頂付近が吹雪でガスに巻かれて金冠山も見えなかったので、金冠山手前の
台地まで。
次の週は無風快晴、春の日差し。登りは権現岳眺めながら金冠山の北側をトラバース
気味に登る。クラスト斜面でスキーアイゼンによる登行の限界を感じたので、スキー
担いでアイゼン登高していく。振り返ると金冠山の頂上付近にカモシカが居る。どう
やって登ったのだろう。こっちはアイゼン履いているのに。大沢岳まで達すると、北
側の島道鉱泉へ至る沢を見下ろすことが出来る。素晴らしい高度感。中間部は急すぎ
て上からは見えない。10年前にここを滑降したが、よくもまあこんなところを滑っ
たものだ。頂上に達し、東側の湯川源頭を滑降する。直江津から真っ白く見える斜面
だ。ザラメでスラフも発生しあまり快適ではない。パウダー時期にここを滑降したい
が、ここまで達するのが難しいかな。

 3月上旬、雨飾山へ。雨飾山への積雪期登山は小谷温泉側から登るのが一般的で、標
高が低い糸魚川側から登る人は少ないと思う。 北西尾根から登るが、思いの外新雪
が多く、それなりにラッセルが有った。北西尾根の1472mピーク付近は細くて雪
庇の上を通過するところがあるのだが、崩れそうなのでいつも以上に気を遣う。16
73mの台地まで上がったところまでとした。ここから上は通常ピッケルとアイゼン
で登るのだが、今日の雪は不安定で雪崩そう。鬼が面山や鋸岳の尖がったピークの眺
めながら、やや重めのパウダー滑降を楽しんだ。
3月中、下旬は鬼が面山へ。頂上が尖がっているので難峰、いや怪峰と言った方が良
いか。雨飾山北西尾根から眺めると、南側のルンゼからだと頂上滑降が可能に思え
る。ただ、こちらから登るには沢を渡渉しないといけない。果たして、前日の大雨で
増水した沢は渡渉不可能に見えた。沢を渡ったとしてもその上の斜面の雪が落ちて崖
が露出していて、このコースは取り付きが難しい。ここを通過したとしても、その上
も急登が続く。
次の週は先週と異なり西側の沢。 昨年と2年前に登ったルート。下部は何時ものよ
うにデブリだらけ。両側の岩壁には大量のブロックがまだ乗っていて、この中を登る
のは地雷の中を歩くようで気持ちの良いものではない。斜度が急になるとスキー担い
でアイゼンで登っていく。駒ケ岳と鬼が面山のコルに到着すると正面に阿弥陀山が見
える。コルの東側の海谷高地側の斜面はデブリが無くおいしそうな斜面。ただ、嵐が
近づいている本日はコルから鬼が面山の急斜面の手前まで。デブリの中の滑降は苦労
する。

 4月上旬は、鬼が面山から見えた阿弥陀山。阿弥陀山は双耳峰で北峰に三角点がある
が、南峰の方がより尖がっている。ここ数年の懸案の課題。阿弥陀山南峰の南側斜面
を滑降したくてここ3年通い続けた。砂場部落から入山し、烏帽子岳と前烏帽子岳の
鞍部から吉尾平を通過し、吉尾平から阿弥陀山南峰の南側から頂上ドーム手前まで登
る。南峰南側斜面は思いの外快適。綺麗なシュプールを描けた。一方、吉尾平への東
側の斜面はスラフによる雪崩が頻発しこれに巻き込まれないよう気を使った。いずれ
にしても、阿弥陀山南峰までは距離が長いし、技術的に難しいし、疲れた。

 4月中旬は火打山、新建ドーム北側の第一ルンゼ滑降を目指した。昨年黒菱山を登っ
た時に、4月ならば真っ白い斜面だということが判ったので。第二~第四ルンゼは滑
降したが、落石とデブリだらけの第一ルンゼは滑降していないので。雪の量が多く、
笹ヶ峰の入り口までしか除雪されていなかった。火打山登山口まで車道の上を歩き、
夏道沿いに登っていく。天狗の庭まで達すると、雲が晴れて火打山頂上が見える。先
週大分降雪があったので、厳冬の様相。頂上付近はシュカブラ、アイスバーン、強
風。雷鳥の足跡有り。
この雪の状態だと第一ルンゼの滑降は止めた方がよさそう。天狗の庭まで滑降し、黒
沢ヒュッテ、三田原山経由で車道を歩かずに車まで戻ることにする。三田原山で悪天
につかまり吹雪に。ホワイトアウトの中、滑る方向を確認しながら笹ヶ峰に戻った。
 
 4月下旬は白山火の御子峰のルンゼ滑降を狙っていた。岐阜県側から入山し間名古谷
を登って間名古の頭とのコルから仙人谷に降りて、北東側から登りこれを滑ることを
考えていた。 上馬さんから頂いた写真では、未知数な点は多々あるものの、頂上付
近に雪はついていて斜度的にも私の技術からして可能性が高いと思っていた。急斜面
のルンゼ滑降のベストな時期は最近では4月下旬。これより早いとブロック雪崩が頻
発し、遅いと岩を含んだ雪崩が起きる。今年は用事があっていけなかったが、想いが
有れば何時かは行けるだろう。

 GW前半は秋田の実家に帰って鳥海山に。険しい奈曽渓谷からの登頂を狙っているが、
冬型の天気で1000m以上は雪が積もっているはずで、これだと渓谷上部からの雪
崩の危険性がある。ということで、中島台からの往復にした。ここからは何度も登っ
ている。中島台からの鳥海山は往復22kmのロングコース。なだらかなメロウな大
斜面がこれでもかと続く。上部は3月のような新雪で、パウダー用の板を選択して大
正解。
実家に戻って芝刈り、墓参り、近くの金浦港を散歩。菩提寺は日本人で最初に南極を
探検した白瀬中尉の生家で、銅像がある。白瀬矗が探検したのはアムンゼンとスコッ
トと同年の明治年間。漁船のような小舟と質素な装備で南極を往復した明治の探検家
の気概は凄い。今年秋に秋田出身の阿部雅龍君が、白瀬が目指したロス湾から2回目
の南極点到達を目指している。彼の成功と無事の帰還を祈る。

 GW明けの次の週は毛勝山塊の釜谷山へ。昨年も登ったが、山スキーヤーはピークハン
ターと異なる様で、ルートを変えて同じ山を何度も登る。釜谷山の頂上から北面を滑
りたくて釜谷から登る予定だったが、釜谷下部は雪が割れていて登れず。よって猫又
谷左股を登る。結局昨年と同じ。暑い日で、汗から体のミネラルがどんどん出てしま
い、何度も足がつる。頂上に着いて釜谷側の北面を見ると、デブリが無い垂涎の急斜
面。いつかここを滑ってみたいものだ。毛勝山は多くの人が登るが、長い林道を歩か
ないと辿り着けない釜谷山は登る人が少なく静か。

 5月中旬は、ここ数年の定番となっている北側からの小蓮華山へ。冬季ゲートがある
ヒヨ平からの小蓮華山は往復30kmのロングコース。全コース歩くと日が暮れるの
で、ヒヨ平からママチャリで時間短縮(変速器が無いので登りは専ら歩き)。それで
も11時間のワーク時間。白馬大池過ぎて稜線まで上がると南から強風。頂上は徐々
に雲に覆われ、白馬岳も見えない。つがいの雷鳥が沢山いた。強風を使って頭上高く
飛翔する。雷鳥は下方にしか飛べないと思っていたが、風を使えばかなりの長距離を
飛べそう。白山のライチョウは冬にこうやって北アルプスから移動したのだろう。今
日の目的はピークだけではなく、小蓮華山北面ルンゼの滑降。南側の直登ルンゼは有
名だが、北側のルンゼは真っ白で垂涎の斜面。ただし、ここは滑った分だけ登り返さ
ないといけない。本日はガスで視界が無くなったので、北側斜面を100m程滑った
だけ。スラフも発生しあまり快適ではなかった。またリベンジしたい。

 5月下旬は蓮華岳。ここ20年ぐらい最後の山スキーの場所にしている。大沢左股を
登って稜線から安曇野側を滑って登り返し、頂上から大沢右股を滑るのが定番。大沢
左股は右股よりも斜度が急。早朝のクラスト斜面をアイゼンピッケルで登っていく。
今年は上部まで雪がつながっていた。稜線に達し、安曇野を眺めながら北葛谷右股源
頭を滑って登り返す。ここは大沢右股よりも急で真っ直ぐで、好みの斜面。頂上に達
し若一王子神社奥院にお参り。本日は4年前に亡くなった父の命日なので。大沢右股
の緩んだ雪の感触を楽しんでスキーを走らせ家路についた。
 
写真は以下の通り
01池の平スキー場上部
02阿弥陀山と烏帽子岳 焼山溶岩台地への林道にて
03阿弥陀山(左)と駒ケ岳 焼山溶岩台地に至る林道にて
04鉾が岳黎明 焼山溶岩台地に至るつづら折り林道にて
05焼山北面溶岩台地
06焼山 北面溶岩台地にて
07黒姫山 東尾根上部にて
08アケビ平入り口のお気に入りの木
09阿弥陀山厳冬 昼闇山尾根より
10昼闇山 1600mの肩より
11昼闇谷カールにて
12明星山にて
13明星山東壁
14鉾が岳 烏帽子岳に登る尾根上から
15阿弥陀山 北烏帽子岳より
16烏帽子岳 北烏帽子岳より
17烏帽子岳頂上にて
18権現岳
19金冠山
20権現岳2
21金冠山とカモシカ
22大沢岳北面の谷を見下ろす
23鉾が岳頂上にて
24鉾が岳頂上より金冠山と湯川源頭を見下ろす
25雨飾山 北西尾根にて
26雨飾山 北西尾根上部1600m地点にて
27鬼が面山 雨飾山北西尾根にて
28鋸山 雨飾山北西尾根にて
29鬼が面山 北西谷にて
30鬼が面山 西側谷での大きな雪のブロック
31鬼が面山西側谷から駒ケ岳側の尾根を望む
32阿弥陀山 鬼が面山より
33鬼が面山 西側谷を上り詰めたコルから
34烏帽子岳 吉尾平にて
35阿弥陀山 吉尾平より
36阿弥陀山南峰直下にて
37鬼が面山 阿弥陀山南峰から 
38火打山 天狗の庭より
39火打山頂上にて
40鳥海山中島台あがりこ大王
41鳥海山 千蛇が谷
42鳥海山北面 鳥越川上部
43鳥海山頂上にて
44鳥海山 北面にて
45小出発電所上から眺めた鳥海山
46釜谷山から劔岳北面を望む
47釜谷山山頂にて
48小蓮華山北面
49雷鳥 小蓮華山にて
50蓮華岳北葛谷から安曇野を見下ろす
51蓮華岳頂上 若一王子奥宮
52蓮華岳 北葛谷右股にて

1 池の平スキー場上部

2 阿弥陀山と烏帽子岳 焼山溶岩台地への林道にて

3 阿弥陀山(左)と駒ケ岳 焼山溶岩台地に至る林道にて

4 鉾が岳黎明 焼山溶岩台地に至るつづら折り林道にて

5 焼山北面溶岩台地

6 焼山 北面溶岩台地にて

7 黒姫山 東尾根上部にて

8 アケビ平入り口のお気に入りの木

9 阿弥陀山厳冬 昼闇山尾根より

10 昼闇山 1600mの肩より

11 昼闇谷カールにて

12 明星山にて

13 明星山東壁

14 鉾が岳 烏帽子岳に登る尾根上から

15 阿弥陀山 北烏帽子岳より

16烏帽子岳 北烏帽子岳より

17烏帽子岳頂上にて

18権現岳

19 金冠山

20権現岳2

21金冠山とカモシカ

22大沢岳北面の谷を見下ろす

23鉾が岳頂上にて

24鉾が岳頂上より金冠山と湯川源頭を見下ろす

25雨飾山 北西尾根にて

26雨飾山 北西尾根上部1600m地点にて

27鬼が面山 雨飾山北西尾根にて

28鋸山 雨飾山北西尾根にて

29鬼が面山 北西谷にて

30鬼が面山 西側谷での大きな雪のブロック

31鬼が面山西側谷から駒ケ岳側の尾根を望む

32阿弥陀山 鬼が面山より

33 烏帽子岳 吉尾平にて

34烏帽子岳 吉尾平にて

35阿弥陀山 吉尾平より

36阿弥陀山南峰直下にて

37鬼が面山 阿弥陀山南峰から 

38火打山 天狗の庭より

39火打山頂上にて

40鳥海山中島台あがりこ大王

41鳥海山 千蛇が谷

42鳥海山北面 鳥越川上部

43鳥海山頂上にて

44鳥海山 北面にて

45小出発電所上から眺めた鳥海山

46釜谷山から劔岳北面を望む

47釜谷山山頂にて

48小蓮華山北面

49雷鳥 小蓮華山にて

50蓮華岳北葛谷から安曇野を見下ろす

51蓮華岳頂上 若一王子奥宮

52蓮華岳 北葛谷右股にて