此䶵龡歌者

1107加藤 
Sun, 17 Jan 2021

件名の
「此䶵龡歌者」の文字面は私が勝手に作ったものですが、
「こちふかば」と読んでください。
2文字目と3文字目の偏はいづれも「龠」です。
先日、NHKのヒストリアという番組の、天神様の話の中で
「こちふかば においおこせようめのはな 
             あるじなしとて はるなわすれそ」
が出てきたので、みなさんにメールしました。
というのは、たまたま漢字の部首を見ていたら、「龠」の部の中に
「龢」「龡」「䶵」 がありました。で、諸橋さんの辞書によると、
「龢」は「和」の本の字、「龡」は「吹」の本の字とありました。
「和」の音読みは「コウ」でなく「ワ」なのは、もともとは「咊」で
「禾」が「クヮ」と発音することから「ワ」になったことはよく知られて
いますが、「龢」までは知りませんでした。
「龠」が楽器の笛を意味を持つので、音楽と収穫した稲があれば
なごむのは間違いないでしょう。
で、「龡」は笛を吹くこと、同じ意味を持つことがわかります。
で「䶵」も笛ですので、それらの字を使い件名のように書いて
見たのです。
この和歌の解釈は、一般的には東風が吹いたならば・・・
と解釈されますが、「こち」は掛詞のような気がしませんか?
「此䶵龡かば・・・・・」、「こ䶵吹かば・・・・・」、
菅原道真は学者ですが、貴族のたしなみである笛も当然こなした
でしょう。道真が笛を吹くなら、この歌はより深みが出てくると思いませんか?
梅の色、梅の香り、そして笛の音の競演です。
別れの日には、道真は梅のために笛を吹いたのではないでしょうか。
大宰府に居ては色は思い出すことしかできないかもしれませんが、
音と匂いは互いに交感することができたでしょう。
この話については、NHKの番組の目に同期の友人にしたのですが、
期待むなしく なしのつぶてだったので、誰かが反応してくれないかと
ひそかに期待しています。
その時は、「龡」=「吹」まで至っていなかったので、ちょっと自信が
なかったのですが・・・
もうすぐ梅の花が咲くというのに、コロナはどうなるのでしょうね。
折よく、伊豫さんから「近所の梅が一輪花をつけました。」のメールが
届きました。